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割増賃金の算定におけるいわゆる在宅勤務手当の取扱いについて

厚生労働省から、「割増賃金の算定におけるいわゆる在宅勤務手当の取扱いについて(令和6年4月5日基発0405第6号)」が公表されました。

1 割増賃金の基礎となる賃金
 労働基準法(昭和 22 年法律第 49 号。以下「法」という。)第 37 条第5項及び労働基準法施行規則
(昭和 22 年厚生省令第 23 号。以下「則」という。)第 21 条により、割増賃金の基礎となる賃金に
算入しない賃金は、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金
及び一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金とされている。

 在宅勤務をする労働者に使用者から支給されるいわゆる在宅勤務手当については、労働基準関係法令上の
定めはなく、企業においては様々な実態がみられるが、一般的には法第 37 条第5項及び則第 21 条に
規定する賃金に該当しないと考えられるため、当該手当が法第 11 条に規定する賃金に該当する場合には、
割増賃金の基礎となる賃金に算入されることとなること。

 一方、各企業において支給される在宅勤務手当が、以下の2及び3に照らして、事業経営のために必要な
実費を弁償するものとして支給されていると整理される場合には、当該在宅勤務手当については法第 11 条に
規定する賃金に該当せず、割増賃金の基礎となる賃金への算入は要しないこと。

2 実費弁償の考え方
 在宅勤務手当が、事業経営のために必要な実費を弁償するものとして支給されていると整理されるためには、
当該在宅勤務手当は、労働者が実際に負担した費用のうち業務のために使用した金額を特定し、当該金額を精算
するものであることが外形上明らかである必要があること。
このため、就業規則等で実費弁償分の計算方法が明示される必要があり、かつ、当該計算方法は在宅勤務の実態
(勤務時間等)を踏まえた合理的・客観的な計算方法である必要があること。

 このことから、例えば、従業員が在宅勤務に通常必要な費用として使用しなかった場合でも、その金銭を企業に
返還する必要がないもの(例えば、企業が従業員に対して毎月 5,000 円を渡切りで支給するもの)等は、実費弁償に
該当せず、賃金に該当し、割増賃金の基礎に算入すべきものとなること。

割増賃金の算定におけるいわゆる在宅勤務手当の取扱いについて

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